Round 8 WatanabeKazuya vs IshiharaTakashi

By Takahashi Jyunya

この試合の勝者が日本選手権への切符を手にすることになる。泣いても笑ってもこれが最後。笑って終わるのはどちらか。いよいよ最終戦の幕が開く。

『2005年度東京都選手権』の優勝者である石原が操るのは、《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を《よりよい品物/Greater Good》で使いまわすというコンボデッキ“GGGIFT”。

対する渡辺は、プロテクションナイトを採用したオーソドックスな“オルゾフビートダウン”だ。

Game1
先手を取った渡辺は、その利を生かして2ターン目《八ツ尾半/Eight-and-a-Half-Tails》からビートダウンを開始する。ランドは止まったものの、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を追加してイニシアティブを譲らない。一方の石原だが、ドローが思わしくないのかランドを置くだけに留まり、序盤の3ターンに全く動く気配を感じない。

そして迎えた4ターン目。渡辺は長考する。
《神の怒り/Wrath of God》を食らう可能性はあるが、止まっているランドをどうにかするために《闇の腹心/Dark Confidant》を展開するか、単体除去で捌かれると目も当てられない状況に陥ってしまう十手装備の後のアタックか。

前者を選択した渡辺は《闇の腹心/Dark Confidant》を展開した後にアタック。単体除去はなかった。しかし、やはり石原は持っていた。すべての希望を流す《神の怒り/Wrath of God》を。くじけずにパラディンを場に放つ渡辺だが、石原は返しで《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》と、ここから一気に反撃を見せる。

だが、渡辺も負けじとランドを引き込んで《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》に《信仰の足枷/Faith's Fetters》を付けて攻撃の姿勢を崩さない。「まだいける」と―――――

「いや、もう無理だよ」

そう諭すように舞い降りた、白き悪魔の名は《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》。続けざまに放たれる《よりよい品物/Greater Good》。

渡辺のパーマネントがアンタップを迎えることはもうなかった。

渡辺 0-1 石原
デッキの中枢
ここで、石原のサイドボーディングに注目だ。
【In】
1《化膿/Putrefy》
1《屈辱/Mortify》
3《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
【Out】
1《けちな贈り物/Gifts Ungiven》
2《木霊の手の内/Kodama's Reach》
1《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》
1《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》

筆者の意見に留まるかもしれないが、非常に個性的なサイドボードに見える。《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と《遥か見/Farseek》のどちらを減らすかで悩んでいたところを見ると、色事故を気にしての《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》退場なのかも知れない。

白黒は、《真髄の針/Pithing Needle》をサイド後に投入してくる事が多いため、《よりよい品物/Greater Good》を減らすのが定石だが、そうはせずに石原はメインボードの3枚のままで2戦目に突入する。



Game2
再び先手は渡辺。

先ほどの試合を思い出しているのか、渋い表情だ。しばらくしてキープを宣言。対照的に石原はオープニングハンドを見るや否やキープを宣言。

渡辺は悩みながら《真髄の針/Pithing Needle》をプレイ。宣言は《よりよい品物/Greater Good》。石原のデッキには《真髄の針/Pithing Needle》が効きやすいカードが多い。《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》に、今回指定された《よりよい品物/Greater Good》。どれもキーカードなので渡辺の悩みもひしひしと伝わってくる。

Magic: The Gathering
 非常に効果的






Magic: The Gathering
 シークレットテク?
続けて《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》をプレイ。食い散らかされたハンドは《森/Forest》。しかし、意に介さずに淡々と《遥か見/Farseek》で《神無き祭殿/Godless Shrine》を持ってくる。

攻める渡辺は《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》から黒マナをひねり出して《金切り声の混種/Shrieking Grotesque》をプレイ。落ちたカードは《低木林地/Brushland》。まさかとは思うが、石原のハンドは土地だけか?

その石原。今までのハンデスされた分を取り返すために《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》を設置。《嘆きの井戸、未練/Miren, the Moaning Well》を置いてエンド。

そうさせてはなるものかと、渡辺は《天羅至の掌握/Terashi's Grasp》で《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》を破壊する。しかし、3点クロックでは小さい。不安が残る展開だ。《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》を壊されてランドの止まった石原は、解決策として《木霊の手の内/Kodama's Reach》をプレイ。《森/Forest》と《平地/Plains》を調達する。

一体どういうハンドだ? と、気になるギャラリーの要望にお応えしての《酷評/Castigate》から明かされた3枚は、《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》《神の怒り/Wrath of God》《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》。この中から《神の怒り/Wrath of God》を抜いて戦線を維持しに行く。

もちろん返しの石原は《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》。ライフは17まで回復し、1本目同様に反撃に転じる構えだ。一方の渡辺も《金切り声の混種/Shrieking Grotesque》を追加して飛行戦線を整える。落ちた手札は《平地/Plains》。

ライフレースは始まった。それでも《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》を置いてドローを進めようとする石原。もう残ライフは7。そして、希望の詰まったアリーナのドローは……《よりよい品物/Greater Good》と《喚起/Recollect》。だめだー。

それでも殴る以外に未来はない。相手のマナは立っているため《喚起/Recollect》からの《神の怒り/Wrath of God》は、《霊の通り路/Ghostway》でかわされる恐れがあるためにプレイできない。

アリーナで6になったライフに4点アタックが襲い掛かる。更に渡辺は止めとばかりに《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》をプレイ。残り1。エンド前に《嘆きの井戸、未練/Miren, the Moaning Well》で《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》を生け贄に捧げる以外に道はない。渋々生け贄に捧げて残り5。

ドローは《よりよい品物/Greater Good》とランド。相手に5マナ目を引かれなかった幸運を盾に、《喚起/Recollect》からの《神の怒り/Wrath of God》を決行。場が一掃される。

渡辺は、今頃引いてきた《沼/Swamp》を悔しそうに見ながら《闇の腹心/Dark Confidant》と《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec》を展開する。《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》で残り3。ドローは《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》とランド。間に合った!!!

その返しに渡辺は《八ツ尾半/Eight-and-a-Half-Tails》をプレイして、残った3マナで《闇の腹心/Dark Confidant》にプロテクション(白)を付けて、《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を白にして《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec》と共にアタックしようとする……が《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》白くなってる!!

仕方が無いので《闇の腹心/Dark Confidant》だけでアタック。残り1。石原は冷静にアップキープに《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を《嘆きの井戸、未練/Miren, the Moaning Well》で生贄に捧げ、静かに渡辺に尋ねた。

「ライフは?」
「……4です」

悔しげに答えた渡辺。そう、残ったハンドは分かっている。《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》だ。

勝利の女神は、石原に微笑んだのだった。


渡辺 0-2 石原

Result:石原 Wins!